ぐりふの隠れきっていない隠れ家

宇奈月黒部ルート(その3)
2014年10月30日

寝坊が絶対に許されない2日目、ホテルを出ていよいよ今回の目的地へ

地鉄の宇奈月温泉駅前は工事中

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富山地鉄 宇奈月温泉駅


そして今日も再び

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黒部峡谷鉄道 宇奈月駅


予約時間まで待機。

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改札前

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ホーム

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駅名板


欅平に向う車窓、昨日は日の向きや夕暮れ時ともあって水が綺麗なエメラルドグリーンであるとはわかってたんですが、
今日は日の向き具合や明るさで沿線から見る川がどこも昨日見た色よりも綺麗、透明度が高いからまたすごい。所々に送水管の放水口?のようなのが見えてそこから出る水が川に注いでる部分が透明度や色など凄い綺麗で、例えるなら沖縄の離島の海という感じかなぁ
ここだけじゃなく、他の場所でも時間帯や光の具合とかでもっと色々と見え方が変わるのかもしれないな

さて今回、宇奈月に来た理由はこれ

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関電の黒部ルート見学会に当選しちゃったのです
どれも平日開催なのでタイミングを見計らってたらいよいよ日数が無くなってきて思い切って応募したら一発で…

欅平に到着後、受付を済ませ、見学上の注意事項などを説明して頂きいよいよスタート。

まずは冬季歩道の上下山者出入口

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上下山者出入口

冬季歩道は冬の時期に鉄道が運休となるのでその期間に関係者が各発電所などに向う為の通路
宇奈月から続いていて、歩くと6時間はかかるそうです

欅平駅から列車に乗り込みいよいよ関係者以外立入禁止の先へ

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欅平下部

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竪坑エレベーター

竪坑エレベーターは昭和14年に建設された仙人谷ダム建設のための資材運搬用の標高差200mを昇るエレベーター
欅平から仙人谷までの河川勾配が急で鉄道が延伸できなかったために作られ当時は日本一だったそうです
標高差200mは黒部ダムが186m、大体50階建てのビルほどの高さになります。エレベーターは1つではなく荷貨用と人員用の2つ並んで設置されています

エレベーターを降りて竪坑上部展望台へ、ここからは後立山の白馬連峰が見えます

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ちょっとズームあっぷ

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左が白馬鑓岳、中央やや右が天狗頭

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奥鐘山


竪坑エレベーターから先は上部専用鉄道で移動となり、黒四ダムまで繋がっています

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バッテリートロッコ


上部専用鉄道は昭和14年建設、バッテリートロッコに乗って仙人谷に向けて発車し、程なく高熱隧道に突入
高熱隧道は建設時、この区間は岩盤が160℃にも達する過酷な場所で火薬類も使えない上に今のように掘削機があるわけでもないので全て人力。当時は水を作業員に掛けながら作業を進めていったそうです。岩盤温度が高温だった頃はトンネルの出口から蒸気が噴き出ていました。
今は送水用の水路が周囲に通ってるので40℃ほど、でも点検とかで送水を止めると温度は上昇するそうです
そんな高温環境なのでここではバッテリートロッコという蓄電式駆動車と耐熱式客車が使われています。また硫黄の影響で鉄製品も直ぐに錆びてしまうんだとか

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高熱隧道の硫黄が付着した壁面

高熱隧道に差し掛かると車両の窓が一気に曇る曇る、そして蒸し暑い

仙人谷駅に到着

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涼しい!そして紅葉真っ只中

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奥に見えるのは電力関係者の宿舎、奥に長く続いているんだとか

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仙人谷ダム

黒部川第三発電所への取水ダム
仙人谷へは普通は欅平から水平歩道、または黒部ダム側から日電歩道を利用しないと来ることが出来ません、その水平歩道は建設前の測量調査で作られたというあの絶壁を歩くので有名な道ですね。
そしてこの仙人谷ダムをよーく見ると砂礫が堆積してるのがよく分かるんですよ、特に奥の方の水面下に砂礫がはっきりと見えました、なんかダムというより護岸工事した川という感じかな…
この流域周辺のダムにつきものの堆積物問題、このダムはどうするんだろうか、建造後からの経過年数でここまで溜まるとなると…

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仙人谷ダムの奥の方にある滝

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黒部川第四発電所方面


この先の発電所までの区間であの中島みゆきさんが紅白で歌われた場所があります。
中継は扇沢側から光ケーブルを引いて中継。発電所が近くにあるにも関わらず、法律で営業用電気が提供できないのでバッテリーやら機材やら一式全て持ち込まれたそうです。 トンネル内なので音の反響があるので、某音響機器メーカーの人がベストなポイントを決めたんだとか。年末にここで中継で歌うとか凄い、寒いだろうし、扇沢からでも結構距離があるわけだし、スタッフがもう某Xな気がs
んで、その歌われた場所は車内からチラッと見えます。一応目印的なものがありましたが本当に一瞬でした

ついに到着

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通称くろよんと呼ばれている黒部川第四発電所に来ましたヽ(゚ω゚)ノ

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黒部川第四発電所は1963年(昭和38年)に建設された全地下式の発電所
発電された電気はここから大阪府高槻市の変電所まで送電されます。
地下に建設された理由は中部山岳国立公園の自然環境を守る、豪雪等の自然環境から設備を守る、急峻な地形に関係なく建設できるのが大きな理由だそうです
今この発電所は常時稼働しているわけではなく補助的役割で稼働されていて電力需要が高まる夏や冬に稼働しているそうです
水力の強みは停止していても15分程度で動かせる所だとか

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発電機室

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ランプが付いているのが今まさに発電中。この時は4基中3基が動いていました

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先代のペルトン水車

この水車は直径3.3m、重量12トン、回転数は360rpm

続いて水車のタービンが回る部屋へ

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風圧が凄い、この下であの水車がこの速度で回ってるとか凄い力

発電所を見学が終わり、次はインクラインに乗車

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このインクラインは1959年(昭和34年)に建設
黒部川第四発電所と作廊を繋ぐ軌道で黒部川第四発電所の建設に必要な資材を運搬するために建設されました
傾斜角度は34度、斜距離815m、高低差が1325m~869mを20分かけて登ります。資材運搬用なので積載能力は25tあります
ここも建設時は上部と下部から掘り始め貫通時は僅かなずれしか無かったとか

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インクラインの軌道

左にある階段は途中で何かあった際に使用する階段。ちなみに今まで利用するようなことは無いそうです
インクラインの途中で黒部ダム側スタートの見学グループと擦れ違います
このインクラインの近くには発電所への送水管が通っていてその斜度はインクラインよりも急な傾斜角度47.2度、点検時は命綱を付けて行われていると。

インクラインから黒部トンネルをバスで黒部ダムへ向かいます
黒部トンネルは1959年(昭和34年)開通、作廊から黒部ダムを繋ぐトンネルでこちらも黒部川第四発電所の建設資材などを輸送するために作られたもので途中には掘削で出る土砂を捨てるための横坑と呼ばれる横穴が数箇所あります。その1つである樽沢横坑へ

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外は熊が出る事があるそうで…はたして…

案内の方が安全を確認してOKだったので外へ、ただ外へは出ますが現在は落石などの為にトンネルの屋根部分より外へは出れませんけど展望は十分にできます

樽沢横坑からは剱岳と氷河に認定された雪渓が見えます

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ここから見える剱岳は裏剱とも言われ、普通では登山者でないと見る事のないもの

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樽沢横坑は十字峡の近くで日電歩道もその辺りを通っています
日電歩道は日本電力が電源開発の現地調査のために作ったものでダム完成後に関電に移行する条件に一般道(一般利用可能の意味)として残す事だったので今でも関電の方が毎年補修をされています
もっとも道と言っても危険部類の登山道なので使用するにあたっては自己責任になりますが。

側から水の流れる音が、そしてなんとか見える水の流れているのを確認(説明があった気がしたんですが失念してしまいました)

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関電トンネルの他の横坑では氷筍といわれる氷が出来ます。
冬季に岩肌からの水滴が-3℃の気温によって瞬時に凍って、「たけのこ」のように成長したもの、しかもそれが無数に出来るらしい。純度も高くて長野オリンピックの際にはスケートリンクに輪切りにして埋めようとしたそうですが、 滑りすぎるので使用するのをやめたというお話も。

樽沢横坑から再びバスに乗車

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そして扇沢からのトロリーバスとの合流地点でバスを下車

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そして黒部ルートの見学の終点に到着して黒部ルート見学会が終了しました

今回、見学会に応募した理由はタイミング以外にも立山というか黒部一体に取り憑かれたようになってしまった結果ですね
最初の頃は黒部の自然への興味だったのでこういうのに参加するという考えはなかったんですが、徐々にこの一体の高度成長期にあった電源開発などの産業的、土木的な面も知りたいと思うようになったのが大きなキッカケです。 さらには最近の電力的な世間の動きからの興味が出たというのもあったりします

一言で表すと非常に面白かったし、色々とまた考えたり気付くことも多くて収穫は豊富でした

見学会は現地集合現地解散で欅平出発の場合は黒部ダムでの解散
ここで扇沢から帰るか富山から帰るかのどっちかになりますが、僕は悩むこと無く富山方面に向かいます
帰るのは扇沢に抜けた方が若干早いんですけどここまで来といて直ぐに帰るなんてねぇ…

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